アサガオの花のつくりを観察したいという思いを抱かせるにはどうしたらいいのでしょう?
それには、アサガオの花のつくりを観察する必然性を生み出すことが大切です。
「花のつくりと実」の単元の導入としてズッキーニの花の観察から入ってみるのはどうでしょう。
【第1時】
1 まず、ズッキーニの花が咲いている写真を見せ、ズッキーニには2種類の花があることに着目させます。
2 すると、片方の花には実になりそうな部分があるのに、もう片方にはそうした部分がないことに気づきます。
※実になりそうな部分がない方はこれから大きくなるのだろうとの考えも出ますが、実になりそうな部分を持つ花の方はつぼみの段階からそうした部分をもっていることにも着眼させます。
3 2種類の花に目が向いたところで、ズッキーニの花にはオスの花とメスの花があることを教えます。そして、どちらがオスの花で、どちらがメスの花なのか考えさせます。ほとんどの子が正しく答えます。そこで、「お花」「め花」という言葉を教えます。
4 ここで、子ども達に疑問を投げかけてみることにします。それは、「実をつくるためには、実になる部分を持っているめ花だけあればいいような気がするけど、なんでお花なんてあるのだろう?」という問いです。
5 すると、子ども達は「生命のたん生(魚)」で学習したことを想起し、メスの産んだ卵が育つためにはオスの存在が大事だったことを語り始めます。オスの出す精子があるからこそ受精でき、受精しなかった卵(未受精卵、無精卵)はカビて腐っていってしまったことを思い出し、オスの花があるからこそ実は大きく育つのではないかとの考えを語り始めます。そして、オスの花(お花)には、メダカでいう精子のようなものがあるのではないかとの考えも出てきます。
6 こうした考えを聞いた後、ズッキーニの花のオスとメスを見分けるポイントは、実になる部分があるかないかだけじゃないようだよと伝え、ズッキーニの2種類の花を上から撮った写真を見せます。そして、花の中心部分のつくりが違うことに着眼させます。
7 こうしてお花とめ花のつくりをじっくり観察してみたいとの思いが醸成されてきたところで、お花とめ花の実物を渡し観察へと入っていきます。
※観察をする中、お花にはおしべがあり、め花にはめしべがあるということをおええます。観察を進めていると、子ども達はおしべには黄色い粉がいっぱいついていること、まためしべの先はねばねばしていることに気づいていきます。こうしたことに気づいたつぶやきを取り上げ、全体へと広めて行きます。そして、この黄色い粉は花粉ということを教えていきます。
8 おしべについている黄色い粉がメダカでいう精子みたいなものじゃないかといった考えも出てきます。こうした考えが出てくると、次時以降の受粉学習へと進めていくことができます。
【第2時】 ※単元の導入を第1時のようにしてあると、第2時は受粉することによって結実するのかという学習へ進んでもよいし、別の花も同じようにお花とめ花があるのだろうかという学習に進んでもよいように思います。 ここでは、別の花のつくりについて調べる学習の流れを紹介します。
1 前の時間に、ズッキーニの花の観察をしたけど、実をつくる花はみんなお花とめ花があるのだろうかということで、ヘチマやキュウリ、カボチャなどの花の写真を提示します。 ※やはり、お花とめ花があるんだと理解していきます。と同時に、花という花すべてにお花とめ花があるのだろうかとの疑問も膨らんできます。
2 「夏になり理科園で咲き始めたアサガオ*1にもお花とめ花があるのだろうか」と問いかけ、予想をさせるようにします。
*1 荒れ地や道端に野生化しているマルバアサガオだと、7月早々に花を咲かせ始めるので観察に適している。
3 子ども達の予想が語られたところで、では実際に花のつくりを調べてみようということでアサガオの花のつくりの観察を始めます。
4 すると、どのグループが観察しているアサガオの花も、つくりが同じことに気づきます。
※と同時に、アサガオの花の中心部分のつくりは2種類のものからできていることに気づきます。そして、片方のものには白い粉がついていることに気づいていきます。こうした気づきを取り上げ、その白い粉はアサガオの花粉だということをおさえます。さらに、白い粉をつけているものをおしべということを教えます。そして、おしべ5本とつくりがちがう1本のものをめしべということを伝えます。
5 子ども達の中には、つくりを調べている中、めしべの下部にはふくらみがあり、その部分がもっとふくらんで種ができていくんじゃないかということを語り出す子もでています。大切にしたい気づきです。
「花のつくりと実」の学習に入り、いきなり「おしべ」「めしべ」という言葉が出てくるより、「生命のたん生(魚)」の学習を想起する中、オスとメスの存在に目が向き、「花にもオスの花、メスの花があるんだ」「オスの花にはおしべ、メスの花にはめしべがある」「おしべとめしべが1つの花の中に存在している花もあり、実が大きくなっていくにはメダカでいう精子みたいな、おしべの花粉が大事ではないか」との思いが生まれてくるよう授業展開することが大切と考えます。よって、私はこの単元の学習は、ズッキーニの花の観察から入るのがよいのではないかと考えています。